ビジョナリーカンパニーにみる歴史に名を残す企業とは?

ビジョナリーカンパニーにみる歴史に名を残す企業とは?

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近年、スタートアップの企業が増えている日本において、永続的に結果を残す企業になるためにはどんなことが必要なのでしょうか。

本記事ではジム・コリンズ/ビル・ラジアー著『ビジョナリー・カンパニーZERO ゼロから事業を生み出し、偉大で永続的な企業になる』をもとに、永続的に活躍をし続け、歴史に名を残すために必要な考え方について解説します。

ビジョナリーカンパニーの精神を取り入れ、永続的に活躍できる企業作りを目指したい方は、ぜひ参考にしてみてください。

最高の人材をバスに乗せる

ゼロから企業をスタートさせるにあたり、必要になるのがビジョンです。

しかし、どれほど経営層が明確なビジョンや哲学を持っていても、最高の人材がいなければ企業は成長しません。

「最高の人材」は、単に能力の高さを示す言葉ではありません。「頭が良い」とか「優秀である」といった人材とは異なります。最高の人材とは「自社にとって最適な人」を指します。バス(企業)が持つ明確なビジョンと同じ方向で、同じ思いを持って進んでいける人材。これが最高の人材なのです。

経営層のトップが単独となり、事業の方向性を決め、施策を展開する。これでは企業は成長しません。最高の人材をバスに乗せ、話し合いながら向かうべき方向性を決めること。そして最高の人材と一緒に、バスのハンドルをどうきるのか、どのように進んでいくのかを決めていくこと。この2つの精神を持つことが重要になります。

第五水準のリーダーシップを目指す

ジム・コリンズが定義するリーダーシップには5つの水準があります。

第一水準のリーダーは、プレーヤータイプのリーダーです。個人の能力が高く、優秀。あらゆる問題に前向きに取り組み、そつなくこなせる人材のことを指します。

第二水準のリーダーは、組織のために動けるリーダーです。周りの仲間のために、自身の能力を使い、目標達成に貢献できる人材のことを指します。

第三水準のリーダーは、マネージャータイプのリーダーです。仲間を使って組織としての成果が出せる人材のことを指します。

第四水準のリーダーは、有能な経営者タイプのリーダーです。カリスマ性を持ち、仲間に対して明確な指示を出し、目標達成のために成果が出せる人材を指します。

ジム・コリンズは第一水準から第四水準のリーダーシップを上記のように定義しています。

しかし、ゼロから偉大な企業にするためには第五水準のリーダーにならなければなりません。第五水準のリーダーとは、職業人としての意思の強さと個人としての謙虚さを併せ持つ存在を指します。

定めた目標に対して絶対に達成するという強い意思を持ち、自分を利するためではなく、大義のために全精力を注げる人材。これこそが、歴史に名を残す企業を作り上げる際に必要な人材なのです。

第五水準のリーダーが持つべきビジョン

第五水準のリーダーがもつべきビジョンは3つあります。

1つ目は、コアバリューと理念です。

コアバリューは、大切にしている価値観を指し、理念は仲間を導くための哲学を指します。

コアバリューや理念がなければ、企業の方針がぶれてしまい、社員が混乱してしまいます。

「企業として何を大事にするのか」を明確にし、進むべき方向に社員を導くことが大切になります。

2つ目は、パーパスです。

パーパスとは存在意義を指します。なんのために企業が存在するのかを明確にし、その上で言葉に出すこと。これが重要になります。言葉で示さない限り、社員は一体化しません。

社会のために何ができるのか、なんのために存在しているのか、存在意義を明確にして声に出すこと。この存在意義の証明が、100年間に渡って会社の指針となるのです。

3つ目は、ミッションです。

ミッションとは「具体的にどんな役割を担い、何を為すのか」を指します。

バーパスを示しながら、コアバリューと理念を重んじ、ミッションを達成する。

この3つを組み合わせ、社内にビジョンとして共有し、共感してもらえた仲間にバスに乗ってもらうことが重要になります。

「ストックデールの逆説」の精神で希望を持ちながら厳しい現実に立ち向かう

「ストックデールの逆説」とは本書に出てくるストックデールが、敵国に捕虜として収容されてしまった時の体験談を元に確立した理論です。

捕虜にされてしまうと、無事に自国に帰れるかはわからない。このような状況の中で、生き残って自国に帰れる人と、諦めて死んでしまう人の違いは明確にあります。

諦めて死んでしまう人は「楽観的」な精神しか持ち合わせていなかったのです。

いつか自国に帰れるだろうと楽観的に考え、行動しない。この精神だけで目標は果たせません。

苦しい現実から目を背けず、希望を持ち続け、目標に邁進し続ける。

「楽観的な視点を持ちつつも、希望を持ち続ける」この逆説の理論を持ちながら、厳しい現実に立ち向かっていかなければならないのです。

3つの規律を遵守し、永続する組織を作る

歴史に名を残す企業になるためには「3つの規律」を遵守しなければなりません。

1つ目は、規律ある人材です。

やると決めたことや、守ると決めたことを確実に実行し、コアバリューと理念に対する規律を着実に守る人材のことを指します。

2つ目は、規律ある思考です。

「やると決めたことや、守ると決めたことを確実に実行する」思考のことです。

3つ目は、規律ある行動です。

期限を守ったり、提出すべきものを提出する、などのやるべきことを着実に遂行するための行動力を指します。

規律ある人材が規律ある思考を持ち、規律ある行動を行っていく。

この積み重ねを継続することで、永続する組織が作られるのです。

「ハリネズミの概念」に沿ったビジョンを遂行する

ハリネズミの概念とは、本書に出てくる狐とハリネズミの童話を例にした概念です。

ハリネズミを襲う狐は、狡猾にあらゆる戦略を考えてハリネズミを食べようと試みます。

一方で、ハリネズミには狐のような狡猾さはありません。しかし、ハリネズミは「自分の身を守る」ため、狐から襲われる瞬間に針を立てます。そうすると、狐はハリネズミを襲えなくなり、ハリネズミは身を守れる。

つまりハリネズミは「これさえ守れば絶対に大丈夫」という肝心要のポイントを知っているのです。このことをハリネズミの概念と言います。

では、歴史に名を残す企業が抑えるべきハリネズミの概念とは何を指すのでしょうか。

それは3つあります。

1つ目は「情熱を持って取り組むこと」です。

楽しいと感じたり、やりがいを感じる仕事でなければ、事業は成立しません。情熱を持ち、自身の仕事に誇りを持つことが重要になります。

2つ目は「世界一になれる分野を持つこと」です。

特定の領域やマーケットにおいて「この分野なら他に負けない」と言えるものを作り出すことが重要になります。

3つ目は「経済的原動力を持つこと」です。

経済的原動力とは「実行することで確実に利益が生み出せるもの」を指します。

社員一人あたりの利益を常に確認し、利益が増え続ける状態を作り出せれば、企業は成長し続けられます。企業が成長し続けられる「経済的原動力」を見つけることが重要です。

情熱を持った最高の人材と一緒にバスに乗り、世界一になれる分野を持つためにビジョンを策定し、前進し続けること。そして経済的原動力を持つこと。この精神こそが、歴史に名を残す企業になるための重要な要素になるのです。

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